嶋本隆司 医師コラム
最新情報に基づいた抗がん剤治療(3)
2009年 11月27日
嶋本隆司 医師
イマチニブの奏功をカバーする「2つの新薬剤」
1988年、東京医科大学卒業。同大学院で白血病の遺伝子解析の研究を行う。1994年、医学博士号を取得。その後、ニューヨーク大学メディカルセンターで造血器腫瘍の研究に従事。帰国後、がん領域全般の臨床・研究を精力的に行っている。2004年より、東京・京都統合医療ビレッジグループ総院長及び付属中央研究所所長に就任。日本臨床腫瘍学会評議員。日本血液学会評議員。日本内科学会認定内科専門医。米国臨床腫瘍学会正会員。米国癌学会正会員。欧州臨床腫瘍学会正会員。
不治の病の代名詞であった慢性骨髄性白血病ですが、特効薬としてイマチニブ(商品名=グリベック)が登場してから、その5年生存率は80%を超え、治療方法が劇的に進歩しています。しかし、イマチニブも万能薬ではなく、抵抗性を示す患者さんが存在します。こういったイマチニブ抵抗性の患者さんに対する分子標的薬が、今年に入って2つ登場しました。
●安全性のニロチニブ、有効性のダサチニブ
約7年間にわたり、慢性骨髄性白血病におけるイマチニブの治療効果をフォローしたIRIS試験。この臨床試験では、イマチニブによってきちんと治療できた患者さんが約60%、有効性の不足や副作用によって中断した患者さんが約40%でした。こういった状況で登場したのが、ニロチニブ(商品名=タシグナ)とダサチニブ(商品名=スプリセル)という分子標的薬で、イマチニブによる効果が得られなかった患者さんに対し、一定の治療効果が認められています。
この2つの薬剤の共通点は、Bcr‐Abl(白血病細胞の異常増殖を引き起こして慢性骨髄性白血病の原因となる融合遺伝子)以外の遺伝子異常に対しても、ある一定の効果が得られることです。
相違点は、ニロチニブのほうがBcr‐Ablに対し、より特異的な効果があり、他の遺伝子をあまり阻害しないこと。分子標的薬はターゲットが狭いほど副作用が少ないので、安全性の面ではニロチニブのほうが優れています。
一方、ダサチニブはBcr‐Abl以外の遺伝子異常も標的にしますので、ニロチニブがターゲットにできない遺伝子異常もカバーできる可能性があります。ただし、ニロチニブに比べ、副作用のマーネージメントが難しいと言えるでしょう。
この2つの薬剤の登場によって、慢性骨髄性白血病のすべてが解決されたわけではありません。両薬剤も効かないT315Iという遺伝子異常も存在しますので、今後もさらなる分子標的薬の開発が求められるでしょう。
また、血液疾患の領域は専門性のレベルも高く、詳細に理解できるまでの説明を主治医から受けることが容易でありません。その点、当院の血液疾患のセカンドオピニオンは、血液内科の専門医でもある私が担当しています。血液疾患は病気の性質をよく理解したうえで、納得のいく治療を受けることが大切ですので、気軽に当院のセカンドオピニオンを受診してください。
不治の病の代名詞であった慢性骨髄性白血病ですが、特効薬としてイマチニブ(商品名=グリベック)が登場してから、その5年生存率は80%を超え、治療方法が劇的に進歩しています。しかし、イマチニブも万能薬ではなく、抵抗性を示す患者さんが存在します。こういったイマチニブ抵抗性の患者さんに対する分子標的薬が、今年に入って2つ登場しました。
●安全性のニロチニブ、有効性のダサチニブ
約7年間にわたり、慢性骨髄性白血病におけるイマチニブの治療効果をフォローしたIRIS試験。この臨床試験では、イマチニブによってきちんと治療できた患者さんが約60%、有効性の不足や副作用によって中断した患者さんが約40%でした。こういった状況で登場したのが、ニロチニブ(商品名=タシグナ)とダサチニブ(商品名=スプリセル)という分子標的薬で、イマチニブによる効果が得られなかった患者さんに対し、一定の治療効果が認められています。
この2つの薬剤の共通点は、Bcr‐Abl(白血病細胞の異常増殖を引き起こして慢性骨髄性白血病の原因となる融合遺伝子)以外の遺伝子異常に対しても、ある一定の効果が得られることです。
相違点は、ニロチニブのほうがBcr‐Ablに対し、より特異的な効果があり、他の遺伝子をあまり阻害しないこと。分子標的薬はターゲットが狭いほど副作用が少ないので、安全性の面ではニロチニブのほうが優れています。
一方、ダサチニブはBcr‐Abl以外の遺伝子異常も標的にしますので、ニロチニブがターゲットにできない遺伝子異常もカバーできる可能性があります。ただし、ニロチニブに比べ、副作用のマーネージメントが難しいと言えるでしょう。
この2つの薬剤の登場によって、慢性骨髄性白血病のすべてが解決されたわけではありません。両薬剤も効かないT315Iという遺伝子異常も存在しますので、今後もさらなる分子標的薬の開発が求められるでしょう。
また、血液疾患の領域は専門性のレベルも高く、詳細に理解できるまでの説明を主治医から受けることが容易でありません。その点、当院の血液疾患のセカンドオピニオンは、血液内科の専門医でもある私が担当しています。血液疾患は病気の性質をよく理解したうえで、納得のいく治療を受けることが大切ですので、気軽に当院のセカンドオピニオンを受診してください。