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松島修司 医師コラム

Dr.松島の往診日記 第2話

2009年 9月17日
松島修司 医師

タルセバと免疫細胞療法

 日々、診療を重ねていると、思いもよらない場面に遭遇します。そのような心から消え去らない患者さんとの感動エピソードを、温熱治療や免疫療法の効果と共に紹介させていただきます。
 第2回は、「家族の絆」を考えさせられた往診を紹介します。
●家族の絆で、余命期間を打破

 その患者さんは、東京近郊の町で暮らす50歳代の男性の方でした。昨年の9月、地元の病院で胆管がんと診断され、余命は長くて4カ月から半年という宣告を受け、統合医療ビレッジに来院されました。
 診察・カウンセリングの後、温熱治療と自己活性化リンパ球療法の併用を2週間おきに行い、11月からは樹状細胞治療も加えました。その結果、進行のスピードはかなり遅くなりQOL(生活の質)も向上しましたが、長期的に見ると

 病状は少しずつ進行していきました。そこで、血管新生阻害作用のあるサリドマイドを投与したのです。
 この間、患者さんは、東京まで通院していたのですが、今年の4月初旬、小学生の息子さんの学校行事で来院が不可能な日があり、私が往診することになりました。患者さんの自宅には、会社役員を辞めた奥さんとサッカー少年の、息子さんがいらっしゃいました。この日、父親の闘病生活のバックアップにあたる家族の絆を目の当たりにしたのです。
 患者さんの病状は、少しずつ、でも確実に進行していきました。そのような時に、患者さんが「他にいい薬はないでしょうか?」と尋ねてきました検査の結果、タルセバが効く可能性がでました。この分子標的薬は、現在、国内において非小細胞肺がんへの使用のみ承認されています。それも、間質性肺炎が起こらないことに細心の注意を払いながら、です。そのような副作用の危険もあり、かつ、地元の病院で処方されたTS‐1という抗がん剤に加えてサリドマイドも服用しているわけですから、私はタルセバの使用を控えていたのです。

 しかし、家族の絆を垣間見て、患者さんが可能な限り家族との時間を持ちたいという思いが痛いほど伝わってきました。患者さんの主治医に安全面をチェックしてもらったうえで、低用量のタルセバを投与することにしました。
 現在、外食も可能で、かつ4万以上を示していた腫瘍マーカーの値は、その半分ほどになっています。そして、余命半年を宣告された患者さんが、家族と共に闘病を開始して、間もなく1年を迎えようとしています。


「統合医療でがんに克」8月号より引用