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星野泰三 医師コラム

統合医療的がん治療(21)

2010年 4月26日
星野泰三 医師

最新の「免疫細胞療法と食事療法」
~免疫力と自然治癒力最大限に高め、がんを克服する~

 私は、福島県郡山市のロマリンダクリニック院長の富永国比古医師と、同クリニックでがん患者カウンセリング、ゲルソン療法などを担当している星野仁彦医師と共に、「短時間で効果的な治療を受けたい」という時間的余裕がない患者さんのニーズに応えられる免疫細胞療法を探求し続けてきました。その結果、スピード性・威力を兼ね備えた「超特異的リンパ球群連射療法」の開発に成功しました。
 今回はこの超特異的リンパ球群連射療法に加え、免疫細胞療法と食事療法を組み合わせた最新の抗がん療法を紹介します。
●さまざまなタイプのがん組織への攻撃を可能にした「最新の免疫細胞療法」

 超特異的リンパ球群連射療法は他の治療法と同様、来院された患者さんにカウンセリングを受けていただくことからスタートします。このときに免疫解析(免疫細胞活性・免疫バランス・善玉免疫サイトカイン・悪玉免疫サイトカイン・がんの栄養血管の状態検査)を行い、個々の患者さんに適したCTL(腫瘍特異的リンパ球)の組み合わせを選定します。そして、安全性の検査と共に採血した44㏄の血液をもとに、約2週間をかけて超特異的リンパ球を個別に培養し、リンパ球のシステム集合体として患者さんに投与します。
 超特異的リンパ球の培養は、血中の単球を樹状細胞(がんの情報をヘルパーリンパ球に伝えてNK細胞やキラーT細胞に指示を送るのと同時にIL-12という強力な免疫物質を出す細胞)に進化させることから始めます。つまり、樹状細胞とリンパ球を共培養するのです。そうすることでIL─12を利用し、従来のリンパ球療法より強力な殺傷能力を持たせることが可能になるのです。こうして培養した樹状細胞に個別培養で5~6種類のがんワクチンによって刺激を与え、そこにNK細胞も加えることで、腫瘍抗原を隠蔽しているがん細胞に対してもCTLが効果を発揮できるようにするのです。
 この超特異的リンパ球を是非とも開発したかった理由は、従来の免疫細胞療法はヘテロ性(初期から進行期・末期に移行するたび、あるいは転移するたびに、がんの組織にさまざまなタイプのがんが混在してくること)のある腫瘍全体への攻撃力が脆弱で、混合型リンパ球(NKT細胞・NK細胞・キラーT細胞・ヘルパー細胞の4種を混ぜ合わせたリンパ球)や樹状細胞を難治性がんの患者さんに行う場合は、バイオラッシュ法など数回の治療を必要としました。つまり、難治性がんを抱えた患者さんへの免疫細胞療法を成功させるには種々の免疫療法を組み合わせる必要があります。しかし超特異的リンパ球群連射法はパッケージ化されていて簡便です。
 このような威力に加え、超特異的リンパ球群連射療法は、2~4週間後には画像診断や腫瘍マーカーなどによる効果判定が可能で、スピード性も兼ね備えています。ですから、ある程度まで病状が進行してしまい、一刻も早く腫瘍の縮小を希望される、2~3カ月も治療効果の評価が待てない状況にある患者さんの期待に、高い確率で応えられる治療法なのです。

●免疫力・自然治癒力をアップさせる食事

 前述した超特異的リンパ球群連射療法に限らず、すべての免疫細胞療法を行ううえで、免疫細胞活性や免疫バランス、善玉免疫サイトカイン、がんの栄養血管の状態といった免疫環境の把握は極めて重要です。とりわけ、リンパ球の採取・投与をする時は、添加物などが含まれているインスタント食品や脂肪分が多いファーストフードなどを食した後よりも野菜や果実などを摂取した後のほうが適しています。というのも、動物性脂肪などの排除やビタミンC・Eやポリフェノールが豊富な食物の摂取は「リンパ球の酸化防止」に繋がり、その活性度をアップさせるからです。
 そこで、私は星野仁彦医師がゲルソン療法(ドイツの医学博士であるマックス・ゲルソン氏が開発した厳格な食事療法・栄養療法)を一般家庭で1人でも実践できるものとしてアレンジした「星野式ゲルソン療法」に着目しました。ゲルソン療法は、がんの原因となる食品を排除し、自然の食物に含まれた栄養素をバランスよく摂取することで、本来人間が持ち合わせている体の機能を高め、病気を排除しようとする療法です。したがって、このリンパ球の活性アップに繋がる食事療法を実践しながら免疫療法を行えば、相乗効果が得られるのです。
 ゲルソン療法の最大のポイントは自然治癒力の向上で、そのために大量の野菜・果物のジュースを摂取し、ナトリウム(塩)の摂取制限を行い、細胞のミネラルバランスを整えます。それによって体の栄養障害と代謝障害が改善され、免疫力が高まってがんを撃退するのです。こうしたゲルソン療法の骨格を継承しながらも、現実に実践しやすくアレンジしたのが星野式ゲルソン療法です。
 その他、リンパ球の活性度を高める食事としてはキノコ系の食品が挙げられます。そこに含まれるベータグルカンが、腸管のM細胞を刺激してインターフェロンを出し、免疫細胞を活性させるのです。その意味では、微生物由来の低分子糖脂質であるソマシー(小麦共棲微生物パントエア)というサプリメントも、樹状細胞を含む単球系の細胞(腸管上皮細胞中のM細胞・肝臓内のクッパー細胞・皮膚のデンドリック細胞など)を活性化させる作用があります。
 また、リンパ球は体温が1℃下がるごとに活性が30数%も低くなると言われていますので、体を冷やしてしまう食事は控えるほうがいいでしょう。
 いずれにしても、「免疫細胞療法と食事療法」との組み合わせでがんを克服するという「新しい抗がん療法」は、これからのがん治療の1つの選択肢として、大きく注目されてくるはずです。